TraveLWithDog vol06
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10Winter 2016観光産業振興のキーマンとして必ず名が挙げられる、星野リゾート代表の星野佳路氏。ペットと宿泊できる宿もいくつか手掛けている。その星野氏に、「愛犬たちと世界中のどこへでも旅が出来る未来を創る」を目指すトラベル・ウィズ・ドック(TWD)代表の中村貴徳氏が、猛き想いをぶつけた。中村貴徳氏(以下、中村) 我々愛犬家は、「愛犬と一緒に旅が出来れば良い」というわけではなく、年に数回しか行けない旅なら、本当に「心から満足できる宿に泊まりたい」と思っています。しかし、ホテルや旅館にペットを泊めてくださいと交渉すると、「ペットはダメです」。この一言で片づけられてしまいます。この状況を何とか変えたい。そこで今回、日本の宿に革命を起こされている星野さんが、ペットの宿泊受け入れについて、どのように考えられているのか知りたく、この対談の機会をいただきました。星野佳路氏(以下、星野) ご指名ありがとうございます。星野リゾートが犬と泊まれる部屋をつくろうと言い出したのは、「リゾナーレ八ヶ岳」 をリノベーションして再開業したときです。 また、星野リゾート創業の地に一から建てた「星のや軽井沢」では、当初から犬と泊まれる部屋を計画していました。私の家にも犬がいて、軽井沢に住んでいたときは会社にも毎日犬を連れて行き、外で遊ばせていました。シベリアンハスキーで、寝ている体の上に雪が積もるくらい寒いのが平気で(笑)。でも、私が犬と泊まれる部屋の設置に踏み切ったのは、犬が好きだというだけではなく、ペットがいる世帯数は伸びていて、 ポテンシャルのあるマーケットになっているからです。ビジネスの観点で、宿側も何らかの対応が必要な規模になっているのは間違いないと思います。中村 そんな状況の中でも、なかなかペット可の宿が増えていかないのが現状です。理由のひとつに、まだまだペットに対するイメージが「うるさい、くさい、非衛生的」だととらわれているからだと感じています。しかし今のペットは、既に通常から室内で飼育されており、そのようなイメージは一昔前の状況なのですが中々宿泊施設に伝わりません。星野さんなら、この壁をどうやって壊していきますか?星野 「星のや軽井沢」の外来ゾーンのレストランをペット同伴OKにしたとき、最も抵抗を示されたのはペットを飼ったことがないお客様でした。その方々の理解が得られないと、私たちが積極的に踏み出るのは難しいものがあります。そういう方々の「衛生的に問題がある」などご指摘をいただいた場合、その内容に根拠がないとしても、私たちは納得していただけるよ愛犬との旅行の未来を握るトップ対談が実現!ペット同伴OKな宿を増やす!その鍵は両者の意識改革にアリ!?photo_Hiroyuki Omori text_Akira Inagaki星野 佳路中村 貴徳星野 佳路観光事業をする者にとって、ペット同伴は無視できない大きなマーケット星野リゾート 代表トラベル・ウィズ・ドッグ代表取締役社長

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