TraveLWithDog vol07
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11Spring 2017星野リゾート代表 星野佳路さんとの対談を終えてphoto_Hiroyuki Omori text_Akira Inagaki中村 貴徳トラベル・ウィズ・ドッグ代表取締役社長1991年に先代より星野リゾートを引き継ぐ。1993年、企業ビジョンを「リゾート運営の達人」と設定し、運営に特化したビジネスモデルに転換。現在、「星のや」「界」「リゾナーレ」を展開し、その他の個性的な施設を含め37施設を運営している。「(愛犬の)大将を長生きさせて」。母親の遺言から、2009年、大将18歳8ヵ月の時に日本一周を達成。ペット専門旅行会社トラベル・ウィズ・ドッグと、オリジナルペットカート「マザーカート」の販売を手掛ける一方、2014年にはハワイに米国法人「ホノルルドッグコンシェルジュ」を立ち上げ、愛犬と行くハワイ旅行のサポートを開始している。Yoshiharu Hoshino星野 佳路氏中村 貴徳氏星野リゾート代表取締役社長トラベル・ウィズ・ドッグ代表取締役社長Takanori Nakamura 星野さんとお話をして真っ先に感じたことは、星野さんもほかのホテルや旅館の経営者と同じ考えなんだなということです。良い悪いということではなく、ペットの宿泊に対して「アレルギーのお客様もいる」「しつけがされていないペットが来たら困る」という、2つの理由がペット宿泊OKの足かせになっているということ。宿のスタイルに関係なく、経営者の方がみんな思っていることなんだと、再認識しました。 ただ、星野さんがほかの多くの方と大きく異なっていたのが、宿側も客を選んでいいと考えていることでした。これは、泊める側の傲慢では決してありません。むしろ、ほかの宿泊客に最高の時間を過ごして欲しいという、サービスに対する高い意識のあらわれだと思います。海外のホテルでは、チェックインのときにクレジットカードの提示が求められ、デポジット(預かり金)が必要となります。世界では、これが標準です。チェックアウト時に宿泊した部屋の状態がチェックされず、部屋をきれいに使った客も、汚した客も一緒くたに「またお越しください」と感謝されるのは、日本くらいです。すべての宿泊客を「お客様」とひとくくりにせず、個々を区別していくことが必要ではないでしょうか。これは、ペット宿泊に関しても同じです。星野さんも、犬はすべてOK、犬はすべてNGではなく、しつけができている犬はOK、そうでない犬はNGというように区別していくことが、宿側に必要だとおっしゃっていました。私も同感です。さらに、「犬同伴の場合はデポジットが必要」となっても良いかと感じています。 すべての犬がダメと断られる現状がとても悔しいです。飼い主にマナーがあり、しつけがきちんと行き届いている犬が増えれば、星野さんのように「ウェルカムです」と言ってくれる宿が増えるはず。 星野リゾートのような素晴らしい宿が、個々の犬を区別し判断してサービスを提供することをはじめてほしいです。それに対して、犬と一緒に素晴らしい宿に泊まりたい飼い主は、一生懸命マナーについて学び、しつけをしっかりする。これが、「ペットと一緒に宿に泊まれるのが〝当たり前〞の未来」を創る、1つの道だと感じました。Takanori Nakamura要求(宿泊をお願い)するのであれば義務(マナーと教育)を果たせ前回号(VOL.06)で実現した、星野リゾート代表 星野佳路さんとの対談。ペットと一緒に宿に泊まれることが“当たり前”の未来を創るために、いま何が必要なのか?星野さんに一緒に考えていただきました。 その対談を終えて、私(中村)が感じたこと─。

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