株式会社フェリーチェ 株式会社トラベル・ウィズ・ドッグ
代表取締役社長 中村貴徳インタビュー[後編]

愛犬のために製作した、特注ペットカート
始まりは、亡き母から託された1頭の愛犬からでした。

亡き母から託された1頭の愛犬のために、中村貴徳さんが製作した特注ペットカート。
それは、のちに製品化され、現在のペットカートブームを生んだ。

この成功は、”愛犬との旅行が普通の未来”を大きく手繰りよせたかに見えた。
しかし、現実には、一歩進んだだけに過ぎなかった。

-中村さんが製作したペットカート「マザーカート」によって、愛犬との旅行が随分と身近になったのではないですか?

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大手企業が発売していたカートの3倍以上の価格にもかかわらず、マザーカートは、凄まじい勢いで愛犬家の方々に支持されました。
それは、飼主さんの「少しでも愛犬たちに良いものを与えてあげたい」という親心からなるものだったと思います。しかし、ペットイベントに出展してみると、同じく愛犬に愛情を持っている人でも、興味を示さない人が多くいました。そこで私は「ペットカートに興味ないですか?」と尋ねてみると、「旅行に行くときは、犬を預けていくから興味ない」との返事が返ってきました。みんなが愛犬と一緒に旅行したいわけではなかったのです。

それと同時に、あることに気付いたのです。ペットカートを求める飼主さんは、ほぼ全員が、愛犬と一緒に出掛けたいと願う人なんだと。しかしそこで、一つの疑問にぶつかりました。「カートを買ってくれた人たちは、愛犬と愉しい旅行に行けているのか?」と。

-現実には、愛犬との旅行が満足できるものではないのだと知りました…。

 私が愛犬との日本一周で体験したのは、素晴らしさだけでなく、窮屈さも沢山ありました。犬と一緒だと高級旅館には宿泊できず、ペンションやキャンプ場のみ。露天風呂が付いているような施設には当然宿泊は無理。レストランや観光施設に入るときも、車に愛犬を待たせることに。犬がいることで自分の行動の範囲は狭まり、同時に愛犬には寂しい思いをさせることになりました。それと同じ思いを、カートを買ってくれた人もしているのでは…。

 ペットと泊まれる高級旅館を作り、ペットと入れる観光施設を増やしていく。カートを販売する責任として、その先の笑顔を提供できないのであれば、カートはただの「鉄の塊にすぎない」。そのことに私は気が付きました。

-それで、ペット専門旅行会社「トラベル・ウィズ・ドッグ」を立ち上げたのですね。

1つずつですが、交渉を続け、ペットと入れる場所を増やしていきました。私は自分がやりたいことを思いつくと、いつも目をつぶって考えるようにしています。「愛犬と一緒に〇〇へ行けたら楽しいかな?」

楽しいと感じたら、次に「なぜ、行けないの?」と考え、そして「どうしたら行けるようになるのか?」と考え、行けない理由(壁)を1つずつ壊していく。

犬と入れない場所があれば、「毛が飛ぶ→洋服着せるよ」「うるさいから→教育しているからほえない」「くさい→ニオイかいでみて、シャンプーしたからくさくないよ」。ダメな理由を1つずつ壊して、一歩一歩前に進んでいきました。

 壁を作っているのは飼主さんも同じです。「うちの子は、もう歳だから」と旅行を諦めてしまう。今は、医療の進歩も目覚ましく、うちの子のように19歳になっても一緒に旅ができるのです。歳を取った犬は、ペットホテルで預かってもらうこともできないし、預けたくもない。

奇跡に近い確率で、我が家の家族となった愛犬たちと、共に人生を愉しめてこそ、本当に素晴らしい人生だったといえると私は考えています。そう、19歳の愛犬と、日本一周したやつがここに実際にいるのですから。

『世界中のどこにだって愛犬と旅ができる次代』そんな未来を皆さんと一緒に創っていきましょう!

中村 貴徳 TWD代表取締役社長

「(愛犬の)大将を長生きさせて」。母親の遺言から、大将を連れた日本一周を開始。2009年達成。
ペット専門旅行会社TRAVEL WITH DOGと、オリジナルペットカート「マザーカート」の販売を手掛けている。